理学療法士が教える変形性膝関節症について

ケガ予防


[PR]



こんにちは今回は、私自身が理学療法士として数多く携わり、300人以上の変形性膝関節症の方をお手伝いさせていただいた中での経験と知識を用いてお話していこうと思います。

変形性膝関節症の現状と罹患率

変形性膝関節症(OA:Osteoarthritis)は、日本において非常に多くの人々が悩まされている疾患です。厚生労働省の調査によると、国内の推定患者数は約800万人とされ、そのうち症状があるのは300万人程度と言われています。特に女性に多く、50歳以上でその罹患率が急増します。男性よりも女性の方が発症しやすい原因としては、閉経後のホルモンバランスの変化や筋力の低下が挙げられます。

変形性膝関節症の病態と予後

変形性膝関節症は、膝の関節軟骨が徐々にすり減ることで発症します。初期段階では、関節の摩擦が増えるために痛みが生じ、次第に関節が炎症を起こします。進行すると、軟骨がさらにすり減り、骨同士が直接接触するようになります。これにより痛みが強まり、関節が変形します。

変形性膝関節症は自然に治らない

変形性膝関節症は進行性の疾患であり、自然に治癒することはありません。保存療法(運動療法、薬物療法、物理療法など)で症状の進行を遅らせることは可能ですが、最終的には関節の変形を完全に防ぐことは難しいです。重症化した場合には、人工関節置換術などの手術が必要となります。

変形性膝関節症の原因とリスク要因

変形性膝関節症の主な原因は以下の通りです:

1. 加齢:年齢が上がるほど発症リスクが高まります。
2. 肥満:体重が増えると膝への負担が増し、軟骨がすり減りやすくなります。
3. 遺伝:家族に変形性関節症の患者がいる場合、リスクが高まります。
4. 関節の過度な使用:運動選手や重労働に従事する人は、関節への負荷が大きく、リスクが高まります。
5. 関節のケガ:過去に膝のケガをしたことがあると、変形性膝関節症になりやすくなります。

予防や抑制のための生活運動ケア

変形性膝関節症の予防や進行を遅らせるためには、適度な運動が重要です。特に膝周りの筋肉を鍛えることで、関節への負担を軽減することができます。以下に自宅でできる簡単な運動メニューを紹介します。

1. 大腿四頭筋(太ももの前側)の強化

スクワット
– 方法:足を肩幅に広げて立ち、背筋を伸ばしてゆっくりと腰を落とします。膝が90度になる程度まで曲げたら、元の位置に戻ります。
– 回数・頻度:1セット10回を3セット、週に3回。

レッグエクステンション
– 方法:椅子に座り、片足を前方に伸ばし、膝を伸ばしきるまで上げます。数秒間キープしてゆっくりと戻します。
– 回数・頻度:片足ずつ10回ずつ、3セット。週に3回。

2. ハムストリングス(太ももの後側)の強化

ヒップリフト
– 方法:仰向けに寝て膝を立て、足を肩幅に開きます。お尻をゆっくりと上げ、肩から膝までが一直線になるようにします。数秒間キープして元に戻します。
– 回数・頻度:1セット10回を3セット、週に3回。

3. ふくらはぎの強化

カーフレイズ
– 方法:つま先立ちをする運動です。両足を肩幅に開いて立ち、つま先で立ち上がり、ゆっくりと元の位置に戻ります。
– 回数・頻度:10回を3セット。毎日行うことを目標に。

4. 全身の柔軟性と筋力の維持

ヨガやストレッチ
– 方法:ヨガのポーズやストレッチを取り入れることで、全身の柔軟性を高め、関節の可動域を広げることができます。
– 回数・頻度:週に2-3回、各セッション30分。

薬物療法と運動療法の併用の大切さ

薬物療法と運動療法の併用は、変形性膝関節症の治療において非常に重要です。以下にその理由を説明します。

  1. 痛みの緩和と機能回復の相乗効果:
    • 薬物療法: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や鎮痛薬を用いることで、痛みと炎症を抑えます。これにより、運動療法が行いやすくなります。
    • 運動療法: 筋力強化や柔軟性向上のための運動を行うことで、膝の安定性が増し、日常生活での負担を軽減します。特に、大腿四頭筋やハムストリングスの強化が重要です。
  2. 長期的な効果の維持:
    • 薬物療法のみでは、一時的な痛みの緩和にとどまる場合がありますが、運動療法を併用することで、長期的な関節機能の維持が期待できます。
  3. 心理的な効果:
    • 運動療法を通じて、自己効力感が高まり、精神的な健康も改善されます。これにより、全体的な治療効果が向上します。

結論

変形性膝関節症の保存療法では、薬物療法と運動療法を組み合わせることが重要です。この併用により、痛みの緩和と関節機能の維持を図り、手術の回避や遅延が可能となります。継続的な治療と適切な生活習慣の改善により、生活の質を向上させることが目指されます。

詳しい情報や専門的なアドバイスについては、医師や専門家に相談することをお勧めします。

まとめと今からできる大切なこと

変形性膝関節症は進行性であり、自然に治癒することはありません。しかし、適切な運動療法や生活習慣の改善により、その進行を遅らせ、生活の質を向上させることが可能です。重要なのは、膝への負担を減らすための体重管理や、膝周りの筋肉を強化する運動を継続することです。自宅でできる簡単な運動を取り入れ、無理なく続けることで、将来の健康を守りましょう。

変形性膝関節症の予防と対策のポイント

1. 適度な運動を続ける:膝周りの筋肉を鍛えることが重要です。無理のない範囲で運動を取り入れましょう。
2. 体重管理:肥満は膝への負担を増やすため、適正体重を維持することが重要です。
3. 関節に優しい生活習慣:長時間の立ち仕事や膝に負担がかかる動作を避ける工夫をしましょう。
4. 定期的な検診:膝に違和感を感じたら早めに医師の診察を受けることが重要です。

変形性膝関節症は、誰にでも起こりうる疾患ですが、早期の予防と対策でその影響を最小限に抑えることが可能です。今日からできる簡単な運動を取り入れ、膝の健康を守りましょう。

[PR]


コメント

タイトルとURLをコピーしました