こんにちは!今回は、肩の痛み(肩関節周囲炎いわゆる五十肩)についてです。
肩の痛みの罹患率
肩の痛みは、世界中で広く見られる症状であり、日本でも多くの人々が経験しています。特に、中高年に多く見られる五十肩(肩関節周囲炎)は、その代表的な例です。日本における肩の痛みの罹患率は、特に50歳以上の成人において高く、調査によれば約10%の人が肩の痛みに悩まされていると言われています 。
肩の痛みの種類
肩の痛みにはいくつかの種類があります。主なものとして以下が挙げられます。
- 五十肩(肩関節周囲炎):肩の関節周囲に炎症が生じ、痛みや運動制限が起こる状態。
- 肩こり:筋肉の緊張や疲労によって肩周辺に痛みや違和感が生じる状態。
- 腱板損傷:肩の腱板が損傷し、痛みや運動制限が起こる状態。
- 肩関節脱臼:肩の関節が外れることによって生じる痛み。
- 肩の神経痛:神経の圧迫や損傷によって生じる痛み。
肩こりとの違い
肩こりと五十肩はしばしば混同されますが、これらは異なる状態です。肩こりは主に筋肉の緊張や疲労が原因であり、デスクワークや長時間の同じ姿勢が要因となります。一方、五十肩は肩関節周囲の炎症によるもので、炎症による痛みや運動制限が特徴です。肩こりは比較的軽度であり、適切なストレッチやマッサージで改善することが多いですが、五十肩は医療機関での治療やリハビリが必要となります。
肩関節周囲炎(五十肩)
症状
肩関節周囲炎の主な症状は以下の通りです。
- 痛み:特に夜間痛が顕著で、就寝中や朝方に痛みが増すことが多いです。また、肩を動かしたときに鋭い痛みを感じることもあります。
- 運動制限:肩を動かす範囲が制限され、腕を上げたり後ろに回したりする動作が難しくなります。
- 筋力低下:痛みや運動制限により、肩周囲の筋力が低下することがあります。
- 関節のこわばり:特に朝起きた時に肩が固く感じられることがあります。
リスク要因
肩関節周囲炎のリスク要因としては以下のものが挙げられます。
- 年齢:50歳以上の人に多く見られます。
- 性別:女性にやや多い傾向があります。
- 糖尿病:糖尿病患者は肩関節周囲炎を発症しやすいと言われています。
- 過去の肩の怪我:肩を過去に負傷したことがある人はリスクが高まります。
肩関節周囲炎の経過
肩関節周囲炎は通常、以下の三つの段階を経て進行します。
炎症期
この段階では、肩の痛みが強く、特に夜間に増すことが多いです。肩を動かすと痛みが増し、運動範囲が制限されます。炎症期は数週間から数ヶ月続くことがあり、適切な治療が必要です。
拘縮期
炎症が治まり始めると、次に肩の拘縮が進行します。この段階では、痛みは減少するものの、関節のこわばりが強くなり、肩の動きが著しく制限されます。日常生活の動作が困難になることが多いです。
解凍期
拘縮期が過ぎると、徐々に肩の動きが回復し始めます。この段階では、関節のこわばりが解消され、肩の運動範囲が徐々に広がります。完全な回復には数ヶ月から1年以上かかることがあります。
リハビリテーションの内容
肩関節周囲炎の治療には、炎症の軽減、痛みの管理、運動範囲の回復を目的としたリハビリテーションが重要です。各段階に応じたリハビリの内容は以下の通りです。
炎症期
この段階では、痛みの管理と炎症の軽減を目指します。がつがつ運動行ったり、知識のない人間がROMを勢いよく行うと炎症が強まり悪化します。
- アイシング:炎症を軽減するために、肩を冷やすことが推奨されます。
- 軽度のストレッチ:無理のない範囲で肩を軽く動かすことで、関節の柔軟性を維持します。
- 鎮痛薬の使用:必要に応じて、痛みを和らげるための薬を使用します。
拘縮期
拘縮期では、関節の柔軟性を取り戻すためのリハビリが重要です。
- 温熱療法:肩を温めることで筋肉の緊張を和らげ、動かしやすくします。
- 関節モビライゼーション:理学療法士による関節の手動操作で、可動域を広げます。
- ストレッチ運動:肩の柔軟性を高めるためのストレッチを行います。具体的には、肩をゆっくりと上げ下げする運動や、前後に動かす運動があります。
解凍期
解凍期には、肩の機能回復を目指したリハビリが行われます。
- 筋力強化運動:肩周囲の筋力を強化するためのエクササイズを行います。例えば、軽いダンベルを使った運動や、ゴムバンドを使ったレジスタンス運動があります。
- 柔軟性トレーニング:引き続き肩の柔軟性を高めるストレッチを行います。
- 動作の再教育:日常生活での動作を再学習し、正常な動きを取り戻すための訓練を行います。
最後にケアとまとめ
肩の痛みは、多くの人々が経験する一般的な問題です。特に五十肩(肩関節周囲炎)は、中高年に多く見られ、その治療には時間と根気が必要です。適切なリハビリテーションを行うことで、痛みを管理し、肩の機能を回復することが可能です。また、日常生活での予防策として、定期的なストレッチや運動、適切な姿勢の維持が重要です。
肩関節周囲炎は炎症期、拘縮期、解凍期という三つの段階を経て進行します。それぞれの段階に応じたリハビリテーションを行うことで、肩の痛みを軽減し、正常な機能を取り戻すことができます。特に理学療法士の指導のもとで行われるリハビリテーションは、肩関節周囲炎の治療において非常に効果的です。
肩の痛みは、適切なケアと治療を行うことで、必ず改善するものです。痛みを感じたら早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。そして、リハビリテーションを継続することで、健康な肩を取り戻しましょう。
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